お知らせ
2023.04.03

2023年度 新入社員への社長メッセージ

当社・日本精機は、4月3日、33名の新入社員を迎えました。
社長の佐藤浩一による、新入社員へのメッセージを、以下の通りお知らせします。

<わたしたちの大切な夢>
 昨今の厳しい経済・経営環境の中であっても、“このような会社にしたい”という、わたしの・わたしたちの『夢』を紹介(共有)します。

 日本精機は、世界の名だたる高級車ブランドにヘッドアップディスプレイ(以下、「HUD」)を供給しています。HUDはフロントガラスの先に投影される自動車の運転情報やNAVI情報によって、ドライバーが前方を向いたまま(下を向いて、視線を道路から切ることなく)認識できるシステムです。結果、道路交通事故の防止に繋がり、運転者の運転負荷を軽減させる機能を持っています。そのため高級車では、多少 値が張っても搭載されています。しかし、世の中の大多数の人は高級車に乗れません。皆さんの周りを見渡しても軽自動車やエントリークラスの自動車が沢山あります。交通事故を起こす危険性は、高級車も小さな自動車も同じです。そこで、軽自動車であっても搭載できる“小型で廉価なHUD”を開発し、世の中の多くの人に使って頂き、交通事故を少しでも減らしたい!と思いますし、そういったHUDを日本精機が先頭に立って量産することで、会社の収益拡大にも繋がると思っています。小型で廉価なHUDの開発は、技術的にはかなり難しいですが、小型で廉価なHUDを通じて、「社会への貢献」と「会社の成長」を両立させることが、わたしの・わたしたちの夢です。

<変革期にチャレンジの道を選ぶ>
 私たち日本精機グループが軸足を置く自動車業界は100年に一度といわれる大きな技術とビジネス変革期“CASE”インパクトの真只中にいます。地球環境保護と併せて持続可能な社会を実現するため、カーボンニュートラルやSDGsを目指した取り組みも加速しています。激しい変革期に、企業として健全に成長しながら生き残るのは難しい事ですが、逆に大きなチャンスでもあります。
 「クルマが外部と繋がると、メーターやヘッドアップディスプレイが果たす役割はどう変わる?」「自動運転車に、どのようなセンサーが必要になる?」「シェアードサービスでは、どの機能がクルマに備われば便利になる?」「電気自動車用にメーター・HUDの軽量・省電力化はどこまで追求できる?」、またSDGsの観点から、「社会から歓迎される製品や機能は何か?」など、ビジネスを拡げるチャンスは無限にあります。
 この変革期を「困った、面倒だ」あるいは「今まで通りで良い」とネガティブにあるいは消極的に捉えるか、今だからこそ「チャンス」と捉えて新しい取り組みにアグレッシブにチャレンジするかは、皆さんも含めた我々次第です。勿論、私たちは「チャレンジの道」を選びます。

 また、CASEによる大変革と併せて、新型コロナウイルスの影響もまだ続いています。
これまで、従業員の集団感染、クラスターは発生させず、全従業員の協力のもと感染拡大防止に注意し、工場の生産停止を免れてきました。今は世界中でワクチン接種が進み、或いはコロナ禍を忘れたかのような景気回復局面ですが、まだまだ国内需要は低調、一部で急速な需要回復見せる地域に対しても、物流や半導体部品等の供給が追い付かず、また燃料代の高騰が続き、経済全体としては急激な改善は期待できません。
 その結果、日本精機グループも、部品調達が難しくなったり、物流や部品のコストが高騰したり、自動車メーカーの生産計画見直しの影響を受けるなど、厳しい経営状況です。

 しかし、私たちは、これらの困難に逃げることなく、全社一丸となって対策に取り組んでいます。これらの困難は、「売上減少」あるいは「コストが増える」といった収益にネガティブなインパクトを与えるものですが、私たちは、無駄な経費となっている贅肉をそぎ落とし、「筋肉質な企業体質への変革」を促して、売上が減っても、輸送費が掛かっても、部品コストが掛かっても、「利益をしっかりと出す仕事のやり方」に会社を変えています。
 この企業改革は、新技術の開発やビジネス革新とは違った意味で、地味ではありますが、大きなチャレンジです。ぜひ皆さんの新しい感性で、斬新なアイディアを出して頂き、一緒に、そして地道にチャレンジしてください。いつ来るか分からないアフターコロナには期待せず、自力で、この難局を乗り越えましょう。

 最近では、ウクライナを含むヨーロッパの景気減速、中国とアメリカのデカップリングなどに代表される所謂「地政学的リスク」が多方面で顕在化しています。これも、私たちにとって、ネガティブインパクトです。例えば、ウクライナへのロシア侵攻に端を発するエネルギー問題で、ドイツでは物価が上昇する一方で収入が減るスタグフレーションの危険性が高まり、ドイツの自動車メーカー向けのHUDの需要が落ち込むといった事象が現実に起きています。又、これまで中国は、安価部品の世界への供給拠点(輸出拠点)だった訳ですが、アメリカでのメーターやHUD生産では、中国からの部品の輸入税を抑えるため、中国製部品を極力使わずに、アメリカ国内の部品調達に切り替えざるを得ない状況となっています。

 グローバルでビジネスを行う上で、「地政学的リスク」を分析する必要が出てきていますので、皆さんも、地政学的リスクが仕事に直結するという意識を持って、世界情勢をよくウォッチしていただきたいと思います。

<求められる姿勢>
 私から、皆さんに『3つのお願い』があります。
 1つ目は、『考え方や個性など各自の多様性を大事にして欲しい』ということです。方針が決まって、やることが決まれば、一丸となって取り組むことは重要ですが、そこに至るまでには各自に色々な考え方やアイディアがあるはずです。それをしっかりと主張し、お互いを尊重しながら議論し、納得して最善な方策に辿り着いてください。議論や納得感の無い画一性は危険です。色々な考え方やアイディアがあればあるほど、会社は強くなります。

 2つ目は、『積極的に何でも先輩に聞いてください』ということ。三年間は何を聞いても許されます。ただし、過去を冷静に疑いながら聞いてください。これまで話したように、技術の面でも、仕事のやり方の面でも、大きな変革期の真只中です。過去のやり方が正しい保証はありませんし、過去のやり方にしがみついていては沈没します。先輩を尊敬しながら仕事のやり方を質問し、そのやり方が本当に良いのか冷静に考え、提案してください。

 3つ目は 『チャレンジ精神』です。経営計画には、「意識改革6か条」として行動指針を入れていますが、その中でも新入社員の皆さんには、特に、色んなことに対する積極的なチャレンジをお願いします。一人ひとりのチャレンジが会社を元気づけます。今は、技術も仕事のやり方も、チャレンジの時です。皆さんが失敗しても責めることはありませんから、安心してください。チャレンジする人を高く評価する仕組みが導入されています。

 繰り返しになりますが、「多様性の尊重」、「積極的な質問」、「チャレンジ精神」の3つをお願いします。

 入社式に、敢えて暗い話もさせて頂きましたが、皆さんの前途は間違いなく明るいと確信します。日本精機は、遣り甲斐がある、チャレンジできる会社です。苦しくても前向きに、元気よく、笑顔で、一緒に日本精機の新しい未来を築いていきましょう。

 本日申し上げた『3つのお願い』を念頭に、皆さんが『夢』を持って、日々精進していただきたいと思います。
 皆さんの成長が、日本精機の発展につながることを期待し、私の挨拶とさせていただきます。

【報道ニュースLink】
日本経済新聞
「新しい発想に期待」 新潟県の入社式でトップが訓示 – 日本経済新聞 (nikkei.com)

新潟日報
変化恐れず常にチャレンジを、新潟県内企業・団体で入社式 燃料や原材料高騰、難局打開へ奮起促す | 新潟日報デジタルプラス (niigata-nippo.co.jp)