2024年度 新入社員への社長メッセージ
当社・日本精機株式会社は、4月1日、45名の新入社員を迎えました。
代表取締役社長 佐藤浩一 による、新入社員へのメッセージを、以下の通りお知らせします。
<はじめに>
皆さんの精悍な、凛とした表情を拝見し、とても嬉しく、また頼もしく感じます。必ず近い将来、各自が大きく成長して日本精機を支える人財になると確信いたしました。当社に入社して頂いたことに感謝いたします。
<変革期はチャンス/ビジネスを拡げる可能性は無限>
わたしたち日本精機グループが軸足を置く自動車業界は、百年に一度と言われる大きな技術とビジネス変革期の真只中にいます。所謂『CASE』のインパクトです。CASEの「C」はコネックテッド・つながるクルマ、「A」はオートノマス・自動運転技術、「S」はシェアード サービス・自動車の共有、最後の「E」はエレクトリック・電動化です。地球環境保護・保全と併せて“持続可能な社会”を実現するため、カーボンニュートラルやSDGsの取り組みも加速しています。
このような激しい変革期に、企業として健全に成長しながら生き残るのは難しいことですが、逆に大きなチャンスでもあります。「クルマが外部と繋がると、メーターやヘッドアップディスプレイ(以下、「HUD」)が果たす役割はどう変わる?」「自動運転車に、どのようなセンサーが必要になる?」「シェアード サービスでは、どの機能がクルマに備われば便利になる?」「電気自動車用にメーター・HUDの軽量・省電力化はどこまで追求できる?」、またSDGsの観点から、「社会から歓迎される製品や機能は何か?」など、ビジネスを拡げるチャンス・可能性は無限です。
この変革期を「困った、面倒だ」或いは「いままで通りで良い」と、ネガティブ・消極的に捉えるか、今だからこそ「チャンス」と捉えて新しい取り組みにアグレッシブにチャレンジするかは、皆さんも含めた我々次第です。勿論、わたしたちは「チャレンジの道」を選びます。
<筋肉質な企業体質への変革>
『CASE』による大変革期と併せ、地政学的動向を含んだ世界規模での景気変動が、企業業績に大きく影響しています。これまで、新型ウイルスについては、全従業員の協力のもと感染拡大防止に注力し、工場の生産停止を免れてきました。又、今では世界中でワクチン接種が進み、コロナ禍を忘れたかのような景気回復を期待したい局面ですが、未だ国内需要は低調、中国の景気減速は先が見通せず、米国では秋にかけて景気減速が予想されています。
ソマリア沖の海賊問題からくる輸送費の値上がり、中国と米国のデカップリングからくる輸出入・関税のリスク、戦争が影響するエネルギー価格高騰など、これらは当社の経営に「売上減少」あるいは「コスト増」といった収益にネガティブなインパクトを与えるものです。
わたしたちは、無駄な贅肉(コスト)を削ぎ落とし、『筋肉質な企業体質への変革』に取り組んで、売上が減っても、輸送費や部品コストが嵩んでも、「利益をしっかりと出す仕事のやり方」に会社を変えている真最中です。
企業体質の変革は、新技術開発やビジネス革新とは違った意味で、地味ではありますが大きなチャレンジです。ぜひ皆さんの新しい感性で、斬新なアイディアを出して、一緒に、そして地道にチャレンジしてください。そして、他力の景気回復に期待するよりも、自力でこの難局を乗り越えていきましょう。
また、グローバルでビジネスを行う上で、「地政学的リスク」を分析することが益々重要になっていますので、皆さんも、地政学的リスクが仕事に直結するという意識を持って、世界情勢をよくウォッチして頂きたいと思います。インターネットや新聞・テレビでニュースを見るとき、そのニュースが日本精機の収益にどう関係するか、と言った見方をすると、新しいニュースの理解が得られると思います。
<現状に満足せず、改革にチャレンジ>
一つ皆さんにお願いがあります。
これまで学校で勉強しているときは、ほぼ先生の指導に従い、その通りに行動していたと思いますが、社会人になった今、それでは会社は成長しません。わたしたちが日々、行動の基本としているものに『現状に満足せず、改革にチャレンジする』という指針があります。
「言われた通りにやって、80点取ればいい」、「失敗するくらいなら、やり方を変えないほうがいい」といった考え方は、昨日までで終わらせてください。これからは、もっと仕事の効率を上げるには、もっとコストを下げるには、もっと仕事のスピードを上げるには、もっと品質を良くするには、という前向きな姿勢で、現状に満足せず、改革にチャレンジしていってください。チャレンジしたうえでの失敗については、会社は高く評価します。そういう人事評価の仕組みにもなっています。
<新製品を開発、技術を磨くことで 世界の交通事故を減らす>
最後に、昨今の厳しい経済・経営環境の中であっても、“このような会社にしたい”という、わたしの・わたしたちの『夢』を紹介・共有します。
日本精機は、世界の名だたる高級車ブランドにHUDを供給しています。HUDはフロントガラスの先に投影される自動車の運転情報やNAVI情報によって、ドライバーが前方を向いたまま(下を向いて、視線を道路から切ることなく)認識できるシステムです。結果、運転者の運転負荷の軽減に寄与貢献し、道路交通事故の防止に繋がっています。そのため高級車では多少値が張っても搭載されるのです。
しかし、世の中の大多数は、そのような高級車に乗れませんし、周りを見渡しても軽自動車やエントリークラスの自動車が沢山あります。交通事故を起こす危険性は、高級車も小さな自動車も同じです。軽自動車でも搭載できる“小型で廉価なHUD”や、HUDが未搭載の車にも“後付けできるHUD”を開発し、売り出し、世の中の多くの人々がHUDを使うことで、交通事故を少しでも減らしたいと思っています。そういった軽・小型車向けの「小型で廉価なHUD」や、後付けできる「後付けHUD」を日本精機が先頭に立って量産し、販売することは収益拡大にも繋がると思います。「小型で廉価なHUD」や「後付けHUD」の企画や開発は、かなり難しいものですが、そういったHUDの企画、開発、量産、販売を通じて「社会への貢献」と「会社の成長」を両立させることが、わたしの・わたしたち日本精機の夢です。
本日申し上げた内容を念頭に、皆さんが『夢』を持って、日々精進していただきたいと思います。
皆さんの成長が日本精機の発展と共に、皆さんの幸せに繋がることを期待し、私の挨拶とさせていただきます。